私たちにとって、ロボットは昔からアニメや映画などで親しみがある機械です。ロボットは人に足りない部分を補ったり、負担を減らすために作られたものです。正確な動作を高速で繰り返せるなど、人にはない強みを多く持っています。
近年、産業用ロボットを導入し、生産設備の自動化を図ることが一般的になってきています。産業用ロボットは、製造現場が抱える課題を解決するために生み出され、人材不足や生産性向上といった、多くの課題を解決してくれるロボットです。適切な利用方法で用いれば、製造現場の課題解決に大きく貢献してくれます。
しかし産業用ロボットを扱うときは、充分な注意が必要です。動作中の産業用ロボットと人が接触してしまった場合、大きな事故につながる可能性があります。こうした事故を防ぐために、産業用ロボットを導入するためには、定められた安全対策を施す必要があります。
今回は、産業用ロボットを適切に扱うための安全対策について、理解を深めましょう。
適切に活用すれば、作業の効率化に貢献してくれる産業用ロボットですが、安全への配慮を怠ると、大きな事故を引き起こすリスクがあります。実際に、以下のような事故が発生しています。
災害事例1.産業用ロボットの可動範囲内に立ち入り、マニピュレータに挟まれ死亡
夜勤の従事者が、ブラウン管パネルの製造ラインで監視業務をしていたところ、コンベア内にパネルの破片が落ちていることを発見。
コンベアに近づいて手作業で破片を取り除いたものの、稼働中の産業用ロボットのマニピュレータと減速機の間に頭部を挟まれ亡くなった事故です。
このマニピュレータは吸着器を有していたため、不意に触れてしまうと作業に巻き込まれる危険性が極めて高いものでした。
災害事例安2.安全プラグを抜いて柵内に入ったが産業用ロボットがう動いた
産業用ロボットが作業対象物を把持した状態で途中で止まったため、安全柵の扉に設置してある安全プラグを抜いて中に入り点検中、突然ロボットが動き出して挟まれました。
この事例では、安全プラグにつながる電気回路に不備があって、ロボットは容易に動作できる構造となっていたにも関わらず、被災者は構造が理解できていなかったか、あるいは理解できていても大丈夫だと思い込んでいたと推測されます。
産業用ロボットにはこうした危険性があるため、安全に扱うための法律と規格が定められています。
労働安全衛生規則第150条の4 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等産業用ロボットの運転中を除く)において、産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずる恐れのあるときは、さく又は囲いを設ける等、危険を防止するために必要な処置を講じなければならない。
例えば、事業者は物理的な柵以外に、ロボットを安全に運転させるためのルールを策定する必要があります。
ISO10218(JIS B 8433) この規格には、ロボットの設計や製造における安全性の保障や、ロボットに関する基本的な危険源や関連するリスクを低減するための要求事項が記載されています。
ではロボットを使用した自動化設備を安全に使うには具体的にどうすればよいのでしょうか?その一つが設備に導入される安全防護装置です。これは自動運転中に人とロボットが接触しないよう隔離するための仕組みを備えた装置及び、機器のことでハード面で人の安全を守る対策として効果的です。
80W以上の出力を持つロボットは、まだ安全対策が必要とされています。安全対策の主な手法は、「安全柵の設置」と「センサーによる安全確保」です。この2つの安全対策が、それぞれどのように異なるのか解説します。
安全柵は作業範囲へ物理的に人が侵入できないようにできます。この場合でも、作業員がアクセスするための開口部やドアが存在する囲いであれば、侵入を検知するためのドアスイッチやアラームランプが用いられます。
装置入り口等に設置し扉が開いていたことを検知するためのものです。
ロボットシステムでは必ず使用し、自動運転中に扉が開いた場合はロボットを非常停止させるようにします。
安全防護装置はハード面の対策ですがソフト面、つまりは運用の仕方や人の行動管理について正しい方針を決めておくことも安全を守るためにとても大切なことです。以下に安全な運用の為の基本的な5原則を解説します。
1.ロボットが自動の状態で運転または待機している間、絶対に可動範囲内に入らないようにする。
2.自動運転、教示作業、非常停止などのロボットの状態が誰にもすぐ分かるように表示する。
3.ロボットは必ず安全策などの中に設置し、人が容易に近づけないようにする。
4.安全柵の出入り口に安全プラグ付き扉を設けプラグを抜かなければ扉が開かず、プラグを抜けばロボットが停止できるようにする。
産業用ロボットは原則的に人と隔離する必要がありますが、出力が80W 以下になる設定がされており人と接触しても危険を及ぼさないロボットが近年増えてきています。こうしたロボットは協働ロボットと呼ばれています。協働ロボットはパワーやスピード面で従来のロボットには劣りますが、安心感をもって導入しやすいため初めてのロボット化におすすめです。
MIRAI-LABでは協働ロボットのDOBOTを販売しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
ロボットに近い場所で作業する人はもちろん、離れた場所で作業する人も、機器の誤操作による事故を防ぐため、正確な知識と運転技能を身につける必要があるためです。
ロボット操作教育スタンダードコースは、労働安全規則第36条第31号に基づいた安全教育(産業用ロボットの教示等の業務に関わる特別教育)を実施し、その受講者に特別教育修了証を発行しております。
教示練習用ロボット:FANUC:LR Mate 200iD
☆スタンダードコーススケジュール☆
1日目
9:00~17:30 学科(テキストによる講習)
産業用ロボットに関する知識
産業用ロボットの教示作業に関する知識
関係法令
筆記試験
①申し込み
お問い合わせフォームまたはお電話にてお申込みください。
MIRAI-LAB:TEL.052-446-6377
⑤当日アスカ株式会社豊田工場にお越しください
到着しましたら、内線にてご連絡ください。