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【工場のIoT化により効率化】ミドルウェアの活用とIoT(情報連携)について

2021.01.13

IoT(情報連携)とは、Internet of Things(モノのインターネット)の略称であり、インターネットにハード機器を接続することを意味します。非常に広い意味で使われている言葉ですが、FA現場におけるIoTとは、生産設備をネットワークに接続し、それらの情報を利活用することを指します。
IoTをビッグデータや機械学習などと組み合わせた次世代生産方式であるインダストリー4.0やコネクテッドインダストリーズとして語られることもあります。

IoTにおけるミドルウェアの必要性


今日の工場は、生産設備の稼働率や品質の向上を図り、多種・多世代・量変動などに対応できる設備作りが必要とされています。しかし、生産ラインではロボットやコントローラ(PLC、画像処理など)や汎用センサなど、様々なベンダによるデバイスが混在しています。また上位系のアプリケーションを開発する場合、情報を取得すべきデバイスに対してのインタフェースの開発も必要となります。機器ごとにインタフェースを開発した場合、開発費用(およそ高額になる)への費用対効果のバランスが崩れてしまいます。

そういった場合に活用されるのがミドルウェアです。ミドルウェアを実装することにより、各機器間の通信を統一化し、統一化されたデータ表現の提供が可能となるため、PLCと上位系アプリケーション(工程管理システムなど)との接続・連携なども可能となり、より最適化されたファクトリーオートメーション、または多種多様な情報連携(IoT)が可能となります。

ミドルウェアとは

ミドルウェアとはOSとアプリケーション間の中間処理を行うソフトのことです。FA分野で言えば、PLCのデータをPCで活用する際にPLCデータをPCで利用できる形式にしてくれるミドルウェアなどが存在します。

基盤をWAN環境へ

IoTやミドルウェアの実装により、統合基盤が実現します。メーカにとらわれず、柔軟でかつ効率的な生産設備の設計が可能となります。整備されている統合基盤ネットワークは、あらゆるところでその効果効率を上げます。

イーサネットプロトコル(TCP/IP)で統合することにより、WAN環境に繋ぎ込むことができます。もちろん安全な通信を確保しなければならない検討事項もでてきますが、利点も多いです。
まず、統合基盤システムへ時間や場所を問わず工場内のリアルタイム情報へアクセスすることが可能となるため、遠隔操作による保全管理体制を整えることができます。
設備の稼働状況をタブレットなどの管理画面からリアルタイムで確認でき、また遠隔工場間でのデータ連携することができるため、ワイヤレス接続されたウェアラブルカメラなどを活用することで、工場内での点検作業や物流倉庫内でのピッキング作業の効果測定や、効率化も図れるようになります。
加工機の遠隔診断を可能にし、故障の予知・予測なども可能となり、稼働停止時間の低減も可能となります。

ミドルウェアの種類と特徴

代表的なミドルウェアを以下3つ挙げる。

①ORiN(オライン)

ORiNとは、工場内の各種装置に対して、メーカ・機種の違いを超え、統一的なアクセス手段と表現方法を提供する通信インタフェースです。また、ORiN協議会により制定された工場情報システムのための標準ミドルウェア仕様であり、そのアーキテクチャはロボットのみならず、その他のFA機器、データベース、ローカルファイルなど、幅広いリソースを扱うことができ、FA全体に効果があります。

汎用言語(C#、C++など)に対応しており、パソコンから各種FA機器のコントローラを制御したり、情報収集したりすることが可能となり、ソフトウェア開発の工数削減やソフトウェアの再利用性、さらに保守性の向上が期待できます。

②OpenRTM-aist

OpenRTM-aistは、ロボットシステムを機械要素ごとにプログラミング作成し(機械要素:RobotTechnorogyコンポーネントと呼ぶ、RTミドルウェアにおけるソフトウェアモジュールの基本単位。以下RTC)、RTCを組み合わせてシステム構築できるソフトウェアプラットフォームです(ソフトウェアプラットフォームとは:ソフトウェアが動作する基盤)。

RTCはC++、Python、Java言語で開発でき、主要OS(Linux/Unix、Windows、Mac OS X)をサポートしています。OpenRTM-aist自体、OS非 依存性、言語非依存性を重視し、CORBAのミドルウェアを用いて実装されます(CORBA:異なる製品間で用いる共通プロトコルIIOPなどで通信を行う、特定OSやプログラミング言語に依存しないミドルウェア)。

なお、オープンソース形式でライセンス配布も可能です。そのため、バグや脆弱性も発見されやすく、いち早く修正対応することができます。メンテナンスがしやすく、技術者の工数を削減できます。

異なるOSや異なる言語で記述されたRTC同士も連携でき、インタフェースが共通化されているため、モジュールの再利用も容易に可能です。
ロボット開発会社での汎用開発環境や、アカデミックユースとして世界のデファクトスタンダードとなっています。

③ROS
ROS は、RobotOperatingSystem の略です。OSというより、ロボット開発用ミドルウェアに近いです。オープンソース形式であり、ロボット・アプリケーション作成を支援するライブラリツールとして提供されています。ロボット掃除機「ルンバ」や、ソニーのエンターテインメントロボット「AIBO」などもROSです。

ROSの特徴として、移動・操作・認識などの膨大なライブラリ群の利用機能や、開発者会議・各地での講演会などのコミュニティも充実しています。汎用開発環境、アカデミックユースとして世界のデファクトスタンダードとなっています。

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